「ゲノム編集トマトの苗を受け取らないでください」活動の報告

             さいたま市まちづくり委員会 2023年1月

 昨年、ゲノム編集トマトの苗をパイオニアエコサイエンス(株)、サナテックシード(株)が2023年度小学校に配布する計画を発表したので生活クラブでも、「ゲノム編集トマトの苗を受け取らないでください」という活動を、市や学校長、教育委員会などにしましょうという話がサステナブル委員会でありました。

ゲノム編集トマトの表示ラベル

 さいたま市政に関することはさいたま市まちづくり委員会の活動なので、ゲノム編集食品とはどういうものか、品種改良とどう違うのか、突然変異を故意に作って問題ないのか、まずは勉強することから始めました。    
ゲノム編集はトマト、大豆、野菜にとどまらず、魚、鶏、コオロギ、牛や豚なんでも編集実験をしていること、編集された食品が社会に出回ることが不安になりました。
 そこでまずはさいたま市教育委員会の指導1課長に面会を申込みました。この時健康教育課長にもご連絡して下さり快く面会の予約が取れました。私たちはお子さんを学校に通わせている保護者を含め9人で面会し、以下の要請を1課長、健康教育課長に説明しました。

 来年度、パイオニアエコサイエンス(株)は血圧を下げる効果があるようにゲノム編集したトマト「シシリアンルージュ・ ハイギャバ」の苗を小学校に配布する計画を発表しています。
 政府は2019年より、ゲノム編集された食品を遺伝子組み換えでないという理由から、何の規制もなく生産、流通することを認め、開発企業に対しては自主的な「届け出」を求めているだけです。
 ゲノム編集は遺伝子組み換えではないのでしょうか?遺伝子組換えは他の生物の遺伝子を入れて新しい性質のものを作ります。つまり遺伝子をプラスする技術です。それに対してゲノム編集は標的とする位置でDNAを切断する遺伝子を入れて特定の遺伝子を壊します。これは遺伝子をマイナスする技術です。私たちはこのように結果は違っても遺伝子を組み換えていることに変わりはないと考えます。
 私たちはゲノム編集による食品が社会に出まわることを以下の理由で恐れています。

① ゲノム編集はクリスパー・キャスナイン(CRISPR Cas9)というハサミの役割をするシステムを1つの細胞当たり数千万、数億入れるので、狙った以外の遺伝子を壊すことがあります(オフターゲット)。切断したDNAを修復するのは自然に任せるため、遺伝子の欠陥や混乱が起き染色体破壊が起こり、意図しない毒性、アレルゲンをもたらす可能性があります。

② ゲノム編集のDNA切断システムにはガイドRNAとCas9遺伝子に加えて遺伝子を発現させるカリフラワーモザイクウイルス遺伝子とマーカーの役割の抗生物質耐性遺伝子が入ります。厚労省はこれらの影響を調べてもいませんし義務づけてもいません。

③ 開発者はゲノム編集食品の安全性審査を厚労省に届け出る義務はなく、事前届け出だけで良いので知らない間に市場に出回ります。

④ 消費者庁は食品表示(ゲノム編集の食品)、農水省は種苗表示(ゲノム編集の種苗)を不要としました。

⑤ どこでゲノム編集の種苗が育てられているのかわからないので、交配による環境汚染が心配です。

⑥ 有機野菜がゲノム編集野菜と交配してもわかりません。

⑦ ゲノム編集による食品はとどまる所を知らず作物、魚、家畜、昆虫にまで及びます。

以上の理由で予防原則の立場から、選択権を持たない子どもたちが安全性を確認されていないゲノム編集トマトの苗を育てたり食べることに反対します。
遺伝子操作をした食べ物であり、特定企業の販売促進につながるようなゲノム編集トマト「シシリアンルージュ・ハイギャバ」の苗を受け取らないでください。 
                以上                                          

 私たちの要請を受けて、指導1課長は校長会に、健康教育課長は各学校の校長先生宛に以下のメールを送ったと11月に回答を頂きました。
「教育委員会から各学校長に対して、「受け取る」「受け取らない」という指示はできませんが、生活クラブ生活協同組合様から提供いただいた資料を市立小・中・特別支援学校・中等教育学校に送付し、ゲノム編集食品については、将来的にどのような健康や環境への影響を与えるか、安全性の検査は行われておらず、表示義務もないことから、子どもたちが食する機会につながる働きかけに疑問の声があがっていること、また、生活クラブからの要望に対して「受け取る」とした自治体は現在のところ無いことを伝え、サナテックシード(株)から無償配布の申し出があった場合、適切に判断するよう依頼したところです。」

  私たちはお二人の課長さんに大変感謝しました。校長先生方はこのご連絡で、ゲノム編集トマトの苗はきっと受け取らないでしょうと思いますが、したたかな企業はやすやすとは引き下がらないかもしれませんし情報が学校のすべての先生方に行き渡っていないかもしれません。

 そこで組合員の皆さんにお願いします。さいたま市立の小、中、高、中等学校、支援学校にお子さんを通わせていらっしゃる保護者の皆さんは、各学校のPTAから「ゲノム編集トマトの苗を受け取らないように」校長先生や担任の先生に働きかけて頂きたいです。インターネットでゲノム編集食品について調べて頂いたり、わかりやすい資料が必要なら各支部のまちづくり委員に「資料が欲しい」とおっしゃってください。大宮、岩槻支部の方は大宮センターに、浦和西、東支部の方は川口センターに配達便でメモを送ってください。

 メモ: ① ゲノム編集トマトの苗についての資料が欲しい
     ② お子さんが通っている学校名
     ③ お名前、連絡先電話番号、支部名、わかれば地区名(中学校区です)

* まちづくり委員に同行して欲しい場合はその旨を書いてください

 以上宜しくお願いします。

さいたま市まちづくり委員  大宮支部:藤野 恵
              岩槻支部:大明 知子
              浦和西支部:井上 佐月
              浦和東支部:内田恵津子