4-4  2005/10/30


 今月はおかげ様で大学に5回ほど通いました。
 毎年この時期お知らせが来て様々な大学で
 様々な講義を受けることが出来るので楽しみにしています。
 なんかすごく嬉しいですね♪
 自分が二十代に帰ったような気がします。
 昨日は明治大学でお話を聞いてきました。
 テーマは朝鮮半島の脱冷戦と東アジア共同体。
 現在の韓国では北朝鮮脅威論が薄らいでいる。
 その前の週はイスラムにおける生と死でした。
 またその分はおいおいお話してゆきたいと思います。

今日は上智大学の10月14日の講座の報告をさせていただきます。
人間の安全保障を脅かす新自由主義とは何か?
ネオリベラリズムとは何なのか?

ネオリベラリズムの特徴

1.産業政策を積極的展開
 日本政府は60年以降経済大国が国是であった。

2.教育、ハイテク重視による国際競争力の回復
 学力低下が叫ばれているが、
 「そのことを心配してない。むしろ歓迎している。」という人たちがいる。
 「これからの日本を引っ張ってゆくのは極少数のエリートがいればいい。
 伸びる生徒を伸ばし国をひっぱっていけばいい。
 その他大勢は従順であればよく、あえて学力はいらない。
 国家に必要なのは一部のリーダーと実直な国民である。」
 伸びる生徒だけ伸ばしてゆこう。(トップ達の発言集)
        ↓
 国際的な競争力をあげるための政策

3.今まで商品化されてないものが市場によって商品化された。
 土地、貨幣(外貨購入)、人間(労働力が安価に)売買されている

小泉内閣により構造改革が推進されている
 「大きな政府から小さな政府へ」
 内閣の組織も省庁の合併などにより、縮小されている。
 民間企業に多くをゆだねて経済の活性化と市場の拡大を狙っている。

評論家内橋克人さんによるこれからの問題点

“Working poor” 働いているのに貧しい人たちが増えている。
年収300万円以下 28.3%=890万人 (2004年)
※現在では30%を越えていると思われる。
労働差別が拡がっているため(正社員以外の契約社員パートタイマーの増加) 

「労働契約法」が与党から出される見通し。
企業と個人が契約して力が強い企業の有利な労働契約で
ますます労働者の権利が脅かされてゆく。

市町村合併による地方の切捨て。
自然災害の増加の不安。

熱狂的な等質化現象。強いものになびいて行く風潮。
民論が衰弱して権論が強くなってゆく。
敗れた野党の得票率は51%であったが議席数で2/3の与党が政策を決める。
小選挙区制を是とする世論が過半数。
地元の利権を守るために小選挙区必要という考えが根強い。

小さな政府によって私たちの負担は少なくなるのか?
保障が減らされてゆく。
医療を中心とした社会保障の弱体化が進んでいる。

利益シフトを考えた時
都会で100円なら地方では200円でいいのではないかとなるのでは?

              ↓
  新自由主義は人間の安全保障を脅かす

新潟大学佐野誠教授のアルゼンチンの話

アルゼンチンでは構造改革を1970年代と1990年代の2度やっている。
その結果、貧富の格差が拡大し大量の失業者が出てきた。
治安の悪化と自殺者の急増。
99年に4,416人の自殺者が翌2000年には8,855人に増えている。
日本でも同じようなことが起こっているのでは?
構造改革とともにデフレが長期化し、不平等感が生まれている。
日本の自殺者の大雑把な数。
97年 1万人    → 98年 3万人    → 現在 5万人超では?

拓殖大学の小池洋一教授のブラジルの話

南アメリカの中に共生経済の経済政策が始まりつつある。
ブラジルは日本より完全失業率が高く14%もあり
正規に採用されている社員は46%しかいない。。
そのブラジルでフランスやイタリアの一部で行われている
企業に対する社会的責任を求める動きが出てきている。
各企業の地域への売上高の0.35%を社会活動に還元する。
イタリアなどでは二桁の%で地域に還元されるところもある。
例えばホームレスをなくす。
空ビルを住居にしてリサイクル事業をし収益がホームレスのものとなる。
フランスでは企業の社会活動が法律で決められている。
ブラジルでも新自由主義にかわり社会自由主義(資本主義の中での経済)
が始まっている。


植民地支配の実態

朝鮮の道路作り 資料No.2

日本は植民地政策をしたが、道路を作ってやったではないかという人もいるが・・・
岩波の書籍より

朝鮮人が土地を取られたのは、土地調査事業からだけではない。
道路工事をやる時にも、土地は全部強制取り上げで、おまけに、その工事には
朝鮮人を無給で使い、出来上がった道路の維持や手入れは、
みな無給で朝鮮人にやらせたのである。
たとえば、京元線の終点から金剛山までの道路工事がそうで、朝鮮人は土地を取られ
なおそのうえ、道路が出来てからは、年に二回ずつ手入れに動員され、
これがもちろん無給で、もしおこたると厳罰になったとは、当時の新聞ですら書いている。

また、わけのわからない日本人は、一般に偏見と優越感から、朝鮮人に対する迫害をやった。
なかでも、朝鮮人相手の日本人高利貸しは、こんなひどいことをやっている。
朝鮮人がこの高利貸しから、土地などの有体財産を抵当にして金を借り、返済の期限を、
何月何日の何時と決める。すると高利貸しは、約束の日時になると、
時計を一時間も進めておく。
こんな奸計を知らない朝鮮人が金を返しに来ると、時間が過ぎているといって受け付けず
有無を言わさず抵当を流してしまう、と言った強盗にひとしいことをやった。

しかしこれはまだやさしい方である。いちばんひどいのは、
なんといっても憲兵のやったことであろう。
当時の新聞に、ある勅任検事の談として、つぎのようなことがのっていた。
朝鮮では憲兵が犯罪の捜査に行くと、かならずその家の婦女を姦し、また財物を強奪する。
ところが検事局でも、これをどうすることも出来なかったというのである。

こんなことは植民地の圧制からくる当然のことだが、朝鮮人の生活は貧困のどん底にあって、
死滅か抗争かの二つの途しかなかったのである。
これが三・一運動の内部的な原因であろう。


朝鮮の人たちの食糧事情 資料No.2

朝鮮米の移出量(外国なら輸出だが植民地なので移出となる)の増加で
農民の米の自給は旧正月の2月までで、あとは雑穀を食べても
秋まで食いつなげず食事の回数を減らしたり、草野菜のかゆを食べた。
                         (京畿道農村社会事情)
 一人当たり米消費量比較
年次 日本 台湾 朝鮮
1915 1.111石 1.161石 0.724石
1920 1.118 1.177 0.623
1925 1.128 1.153 0.5186
1930 1.077 1.107 0.4508
                           ※抜粋して載せています
同じ植民地でも台湾は日本と同じくらい米を食べている。
台湾が元フランスの植民地で、フランスの統治がゆるやかだったことの名残。

捨て子の人数 日本と朝鮮の比較 資料No.2

年次 日本 朝鮮
明治43年 5
大正1年 78
大正3年 89
大正6年 1 101
                ※抜粋して載せています

朝鮮 小作争議 累年比較 資料No.2

朝鮮総督府調査月報より
年次 件数 参加人員
大正9 15 4,140
10 27 2,967
11 24 2,539
12 176 9,060

数字から朝鮮がいかに過酷な支配を受けていたかがわかる。

                                                          
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